今日は、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の朗読の話です。
私の大学の時の専門は宮沢賢治です。高校時代の自由研究の時間から、私の宮沢賢治研究は始まり、いつの間にか近代文学を専攻し、そして、宮沢賢治の卒業論文を書き、いつの間にやら、国語の先生になってしまいました。
というわけで、今日は、宮沢賢治の童話の話です。
「雨ニモマケズ」と「どんぐりと山猫」
私は、高校時代に宮澤賢治と出会いました。当然、その前にも出会っていますが、それは数ある日本の童話のひとつとして出会っているわけで、高校に入学する前後に、宮澤賢治の思想的な部分に触れることになります。
考えてみれば、それが文学的なアプローチの第一歩だったのかもしれません。
小学生のころは、読書はただの楽しみでしかなかったし、推理小説とか歴史小説とか、そういうエンテーティメントとして、本に接していたわけですが、この宮澤賢治と出会うことが、作家論というか作品論というか、そういうアプローチをする面白さを知った最初だったような気がします。
その作品は「銀河鉄道の夜」です。当時は宮澤賢治論が書店に並び始めたころで、そうした中で、あの自己犠牲的な作品がなぜか心に深くつきささっていくことになりました。
そんなこともあって、すでに紹介しましたが、「雨ニモマケズ」の暗誦をやらせてみたくなったりするわけですね。
しかしながら、賢治の思想的な深さは、さすがに3歳には厳しいだろうとふんで、最初はおもしろいものにかぎると買ったのが「どんぐりと山猫」でした。
これは、やはり、どんぴしゃで、朗読すると、またおもしろさが倍増するというか、やっぱりこういうのがおもしろいよなあ、という感じでした。
車の中で「朗読CD」がブームに!
さて、そんなことをしているうちに、暗誦ブームは去ったかなあ、と思っていたんですが、図書館から朗読CDを借りてきたことをきっかけに、また賢治ブームがゆりもどされてきました。
方言が残っているおばあちゃんが朗読してくれているもので、何が入っているのかなあと思えば、やっぱり、「雨ニモマケズ」と「どんぐりと山猫」なんですね。なんかわかるなあと思ったり。
まだ面白いのもいっぱいあるんですけどね。
そのCDを車の中で聞くブームが一回巻き起こるわけです。やっぱり、「どんぐりと山猫」は朗読してもらうとおもしろい。特に方言聞くとね。
でも、おばあちゃんだし、丁寧だから、テンポがかなりゆっくりで…。
というわけで、「お父さんが読んだときは…」なんていう比較が始まり、また、賢治の朗読ブームがやってくるわけです。
「注文の多い料理店」
さて、そうなってくると、買ったはいいけど、「どんぐりと山猫」に負けていた「注文の多い料理店」が復活するようにもなりました。まあ、飽きがくるのもひとつでしょうし、CDにやっぱりこれも入っているのも理由のひとつでしょう。
※大きい画像は絵本ナビの作品紹介へのリンクです。
「注文の多い料理店」については、説明するまでもないでしょう。賢治の言葉遊びが炸裂している作品です。
岩手の花巻の片田舎で「西洋料理店」というおしゃれな設定を出しつつ、都会から来た紳士をからかうというか、やりこめるというか、そういう感覚も出ていて、楽しい作品です。
賢治が生きている間に出版されたたったひとつの童話集の、しかもタイトルに使われたわけですから、賢治としても自信作だったのではないでしょうか。
3歳のお姉ちゃんにとっては、ちょっと怖い話のようで、どうしても「どんぐりと山猫」に負けていた部分があるんですけど、ここで復活したのはうれしいかぎりです。
最近、本を読むのがお母さんに行ってしまっている感じがしていて、ちょっと嫉妬ぎみだったんですが、これだけはお父さんが読むものになっていて、うれしいかぎりです。
また、賢治の絵本を買いに行こうかな。茨海小学校か、雪わたりあたりがいいかな。
なんていうお父さんの話でした。