絵本の真似び(まねび)

子どもが読んでいる本を紹介していきます。

「雨ニモマケズ」暗誦をさせたくて、うまく欲しいように仕向けた絵本?

今日は絵本であることは間違いないのですが、「雨ニモマケズ」です。暗誦をさせたくて買った、動機が不純な本です。

 

私と宮澤賢治

私は大学で近代文学を専攻しました。専門に選んだのは宮澤賢治。これは高校時代にさかのぼり、なぜか「銀河鉄道の夜」に感動し、なぜか文学研究の、つまり作品研究の本を読みあさり、たまたま高校での自由研究の課題に、研究のイメージができ、選んでしまったというのがきっかけです。

もともとは、理系の研究ということをイメージしていたんですが、高校1年生の私には、そもそも研究とは、どうテーマを決めて、どう研究するのかが見えませんでした。もし、先に理系の研究の書籍に触発されていたなら、「こういうことか」と思って理系の研究をしたのかもしれませんが、私は文学研究の本に出会い、文系にだけ、しかも文学にだけ「こういうことか」と気付いてしまったわけです。

で、やり方のわかってしまった私は、とりあえず全作品読むとか、研究本を読むとかいうアプローチをしました。高校生にとっては簡単にできることで、しかも宮澤賢治だと、作品量がなんとか読めるぐらいなんですよね。

というわけで、宮澤賢治研究をはじめ、幸運なことにそれが高校で評価を受け、そしたら、なんだかやる気になってしまってこんな人生をあるくことになってしまったわけです。

賢治の作品は、子どもたちにはとてもおもしろく、またためになるものも多いので、折にふれて読んであげたいなあ、と思っているわけです。

「にほんごであそぼ」で「雨ニモマケズ」の暗誦をやっていた…

そんなことを考えて子育てに突入するわけですが、国語の先生としては「にほんごであそぼ」が気になるわけです。結構、見せようとがんばったんですけど、1歳ぐらいまでは、やっぱり「いないいないばあ」と「おかあさんといっしょ」ぐらいで、「えいごであそぼ(当時)」は多少興味をもっても、なかなか「にほんごであそぼ」は見てくれない。やっぱりダンスとか動物とか動きのあるものは、興味があるんでしょうけど、「にほんごであそぼ」はやっぱり抽象度が高いんでしょうか、なかなか見てくれなかったんです。

ところが、2歳も半ばになってくると、急にくらいつくように見る、正確にいえば、もっと好きな番組はあるけど、これも自分のための番組だっていうぐらいだと思うんですけど、まあ見始めてくれるようになりました。

そしたらですね。暗誦コーナーがあるわけですよ。枕草子とか平家物語とか。そしてなんと「雨ニモマケズ」があるじゃないですか。

これはやらせたい。

というのも、ここで何度か書いていると思うんですけど、覚えた話を再現しているわけです。「わにわにのおでかけ」とかね。これができるなら、「雨ニモマケズ」だって覚えられる。

でも、「わにわに」は何度も聞いて覚えたので、実際、「雨ニモマケズ」をどうやっておもしろく聞かせるか、ということが問題とです。

実は、彼女が生まれたばかりで買った「読み聞かせたい日本の名作」みたいな本があります。ここに宮澤賢治はいくつか入っているんですが、その日の調子によるんですよね。絵がないから。完全に、ぼくらが読んで、話を聞くだけの本なので、聞けるときもあれば、そうでない時もある。ここにも「雨ニモマケズ」はあるんですが、別にどれで読んだところで、「わにわに」と同じように聞いてくれるかわからないし、そもそも彼女が真似をして再現しようと思うかがわからない…。

さて、どうしたものか…。

 

絵本を作れば覚えるんじゃないか??いや、絵本を売っていた!

そうか。「雨ニモマケズ」が「わにわに」と同じようになればいいんだ!

と私は思ったんです。

簡単です。彼女は絵本を開きたい。そして、それを私たちや保育園の先生と同じように読み聞かせをしているような真似をしたい。

だから、「雨ニモマケズ」の絵本を作ってやればいい。一言ずつ区切って、それに合う絵を書いて…そしたら、イメージもできるし、喜んで聞くかもしれないし、真似をするかもしれない!

と思ったら、奥さんもまったく同じことを考えていました。僕が絵本を作って、それでやってみようと。

いいアイディアで、しかもぼくもやる気だったんですが、あっという間に、実行しないことが決定。

…本屋で奥さんがそれを見つけたんです。

※大きい画像は絵本ナビの商品紹介へのリンクです。

しかも折しも、奥さんの実家から彼女に誕生日プレゼントをあげたいと。年末生まれなんで、クリスマスとか誕生日とか複雑にからむんですけど。お年玉ふくめて、要は、短期間に山ほど、プレゼントタイムがやってくる。そうすると、おもちゃの嵐にしたくない。

というわけで、奥さんは、「ちょうどよかった。図書券もらって、「雨ニモマケズ」にしよう!」ということになりまして、僕が物色するより早く、あっという間に、絵本はうちにありました。

早く買って、誕生日には披露させるという心づもりですね。

買ってみたものは、すごくデザイン的な絵で、ちょっと象徴的すぎて大丈夫かなと心配しましたが、「にほんごであそぼ」の暗誦コーナーを見ていたこともあり、自分も覚えてみたいという意識もあったようで、喜んで読んでおりました。

実際にどうだったかというと…

私や奥さんが読み聞かせながら進んでいくわけです。

問いかけは「覚えた?」ではなく、「読んで!」「聞きたいなあ!」です。

「いいよ!」と自慢げに覚えたところまで進んでいきます。

とまっちゃったところで、読みだすと嫌がります。だって、自分が読んであげたいわけで、教えてほしいわけじゃないので。

だから、そんなのは気にしないで、また、一緒に読んで、それをやったら「聞きたいなあ」の繰り返し。

ほどなく全文を覚えることに成功しました。当然、録画してNHKに投稿したんですが、全文でしたし、2歳だったし、たぶんとりあげられないだろうなあ、テレビってそういうもんだよなあ、っていう感じです。

それはともかく、3歳の誕生日の前に覚えることに成功し、プレゼントしてくれたじじばばに暗唱でお返しすることができました。

本人もすごく自信をもったみたいでよかったです。

こういうのが「伝説」のようになって、「この子はすごい!!」ってじじばばが言い、自信になる。狙い通り…。

ちなみにですが、覚えること自体はすごくなくて、3歳ぐらいになったら、アンパンマンの歌とか歌うじゃないですか?それが「雨ニモマケズ」になっただけ。彼女にとっては、アンパンマンのマーチも、「わにわに」も「雨ニモマケズ」も同じなんです。

やってみたい人は是非、チャレンジしてみてください!