絵本の真似び(まねび)

子どもが読んでいる本を紹介していきます。

宮澤賢治「どんぐりと山猫」 なぜかほしがった「注文の多い料理店」とともに。

記念すべき最初の紹介は、最近買った「どんぐりと山猫」です。

今日は先日購入した「どんぐりと山猫」です。本当は買う予定がなかったのですが、見つけて絶対に喜ぶだろうと思って思わず買ってしまいました。秋になると、どんぐり拾うの大好きですし、家の彼女のビンには拾ってきたどんぐりがコレクションされていますから。

 

「どんぐりと山猫」

「どんぐりと山猫」は宮澤賢治の作品です。実は、私は高校時代に宮澤賢治の研究をして、高校の研究紀要とかに載せてもらえて調子に乗って、大学では宮澤賢治の卒業論文を書きました。ちょうどブームが巻き起こりはじめたころです。

宮澤賢治は、生前発行されたのは自費出版の童話集「注文の多い料理店」と、詩集、正確に言うと「心象スケッチ」、「春と修羅」の2冊だけです。

もちろん、売れません。

その他に発表された作品と言えば、たとえば「シグナルとシグナレス」とか限られたものだけです。

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「どんぐりと山猫」は、山猫から金田一郎くんに手紙がとどくところから始まります。

www.aozora.gr.jp

「あなたは、ごぎげんよろしいほで、けっこです。あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい。」

最初っからおもしろいですよね。

山猫を探しながら、なんとかたどりつくと、どんぐりの裁判が始まります。

それを一郎くんが見事に解決します。

 

思わず買ってしまった「どんぐりと山猫」

もともとは、おくさんとこどもが、本屋で「注文の多い料理店」を見つけて、なぜか買いたい、と約束したところから始まります。またそのうち書きますが、「雨ニモマケズ」を買っていた同じコーナーにあって、何かの拍子でほしくなったみたいです。

宮澤賢治がほしいなら、と、もっと種類がいっぱいあるはずの本屋まで足を運んだら、あるわ、あるわ。

山ほどの絵本が、いろいろなタッチで書かれていて、好きなだけ選べるんですね。すごい。思わず感動してしまいました。

宮澤賢治といえば、「注文の多い料理店」「やまなし」「セロ弾きのゴーシュ」「オツベルと象」あたりが絵本としては想像できますよね。「銀河鉄道の夜」とか「風の又三郎」とかだと、長いので絵本だとすれば、おそらくだいぶカットされていると思います。

でも山ほどあるんです。「よだかの星」「なめとこ山の熊」といった名作から「虔十郎公園林」とか「鹿踊りのはじまり」まで。いやあ、楽しいなあ。

何から買おうか迷ったんですけど、とにかくどんぐりなら好きだし、この楽しさははまるに違いないと、「どんぐりと山猫」にしました。

 「どんぐりと山猫」は何種類かあったんですが、絵がよりかわいらしい方を思わず選んでしまいました。もうひとつもきれいなんですよ。迷ったんですけど。これはもう、フィーリングとしかいいようがない。

もちろん、最初の約束の通り、「注文の多い料理店」も買いました。これは山ほどあって、えらぶのに苦労しましたが、まあ、えいやーという感じで。

「どんぐりと山猫」を読むと…

宮澤賢治の作品は、意外と読み聞かせを想定して作られているような気がします。演劇が好きで教え子にやらせていたなんて話もありますが、声に出すとおもしろい。

まず、あの手紙も、声に出すと思わず笑っちゃいます。

ごきげんよろしいほで、けっこです。

めんどなさいばん

おいでんなさい。

とびどぐもたないでくなさい。

おもしろいですよね。

で、次に一郎は、山猫のところに行こうとするんですけど、栗の木、笛吹きのたきとか、きのことか、りすとかに聞くんです。

これも同じような質問に同じような答え。で一郎も毎回「ありがとう」って繰り返す。

で、山猫がどこにいったかはいったいわからない。

最初がひがし、次がにし、で南、となれば次は北かな、と思えば、なぜか南の目撃情報2回目…

なんかわらっちゃいます。ルーティンのギャグと、その裏切りですね。

どんぐりの裁判がはじまると、

もうめちゃくちゃ。おんなじことの繰り返しで、さぞ、山猫も大変だろうなあ、と思いますが、読むのも大変。

今の世の中だと、きっと作者もコピペで書いちゃうんでしょうけど、賢治は自分で言いながら書いてるから、まったくおなじところもあれば、びみょうに変えるところもあります。

このあたりはもう大爆笑でした。

読むと疲れるんですけどね。

うちの子にも山猫からの手紙が届くといいなあ、と思うんですけど、なかなか来ないとは思います。秋になったら、どんぐり集めて、ぼくがえらいんだってやれば、とりあえず、裁判はできるかな。