絵本の真似び(まねび)

子どもが読んでいる本を紹介していきます。

「どんなきもち?」ひらがなを覚えはじめた3歳のお姉ちゃんに、いろんな気持ちを表す言葉を伝えたい!

今日の紹介はゴールデンウィークに行った上野の「親子ブックフェスタ」で見つけた「どんなきもち?」です。

ゴールデンウィークに上野の「親子ブックフェスタ」に行ってきた話は何度か書きました。

ehon.manebi.tokyo

本が20%オフということもあって、いろいろな本を買ってきたわけですが、まだ紹介していない本もありまして、その中のひとつが「どんなきもち?」です。これも最初に寄ったブースで、おススメされて、「トムとレアのたのしいいちにち」とともに、いきなり袋に入れてしまった一冊です。

 

「どんなきもち?」は魚がその気持ちを表す言葉とともにカラフルに描かれた絵本

「どんなきもち?」は、見開きの半分にクレパスのような画材で描かれたカラフルな魚と、その雰囲気にあった気持ちを表す言葉が、同じようにカラフルに描かれています。

作者はミース・ファン・ハウトさん。

ブックフェスタに訪れて最初に立ち寄ったブースが、西村書店さん。狙い撃ちでもなんでもなく、一番入り口から近かった、ただそれだけ。

で、絵本を眺めだして、すぐに気になってしまった1冊がこの「どんなきもち?」です。

※大きい画像は絵本ナビの作品紹介へのリンクです。

絵の通り、カラフルに描かれた魚と、そして同じ画材で描かれた気持ちをあらわすひらがな。

「うんざり」「わくわく」「しょんぼり」「ゆうきをもって」などなど、いろんなタイプの気持ちを表す言葉がひらがなで書かれています。

字も、フォントやレタリングでなく、しっかりと手書きで書かれています。さすがに出版社が出してくれているブースだけあって、ちゃんと説明してくれましたが、この日本語、ひらがなで書かれた気持ちをあらわす言葉も、作者のミース・ファン・ハウトさんが、ご自身で描いたのだそうです。この作業、とっても大事だと思います。だって、この本のすごいところは、気持ちという、目に見えない抽象的なものを、色や形というデザインの力を借りて、具現化するところにあるわけですから。

作者からすれば、誰かにやらせるわけにはいかないんでしょうね。

異なる言語の日本語で、それをきちんとやってくれるなんて、これはすごいこと。

私としては、ぱっと見て気に入ってしまい、出版社のすすめる「トムとレアのたのしいいちにち」をお姉ちゃんが気に入り、ここだけで2冊買うはめになりましたが…。

 

言葉の理解は、名詞から抽象的な概念になっていくはず…という狙い

さて、今、私は、一発で、これを買う気になったと書きました。これは当然、ページをめくってみた、絵の美しさであったり、デザインの良さであったり、そういうものであるわけですが、理論的な面でいうと、絵本を読み込みはじめて、私が欲していた本であったからです。

こどもは、言葉を獲得していくときに、まずは名詞とか動詞を覚えていくわけですが、それは、モノとか動作とか、目に見える、つまり具体的なモノである必要があるわけです。

副詞のようなものであるなら、「たくさん」とか「もっと」とか「いっぱい」みたいなものはわかりやすいですよね。目に見えますから。

ところが、気持ちのような目に見えないものを、理解していくのは一定の経験が必要なんです。

たとえば、比較的わかりやすいのが「怒る」みたいなもの。これだと、「目の前にいる人が怒っている」わけですから、目の前にいる人・モノの状態なわけで、イメージしやすい。お母さんも、お父さんも、バアバも、「ああ、これが怒っているか」という感じです。

ところが「悲しい」はどうでしょう?ちょっと難しくなりますよね。これよりも子ども向けにも「泣いている」の方がわかりやすくなる気がしません?

わかりにくいかな?たとえば、お母さんが、平気な顔をしているけど、本当は悲しいってわかりにくくないですか?だから、小さい子どもに伝えるときは、「泣き真似」したりしません?あるいは「えーん、えーんってなっちゃうよ」とか、「泣きたいよ」とか。

まだ、これでも「こわい」「うれしい」「いやだ」「たのしい」ぐらいなら、使われる頻度が多いから、なんとか類型化してコミュニケーションとれるようになるわけですが、もっと微妙な心のひだを表すためには、語彙が必要になりますが、これは難しいんですよ。

私は、人の気持ちがわかる子、というのは、だから、単純に優しい子というだけでなく、こうした気持ちを表す言語を獲得して、そしてその言葉によって、相手の気持ちをくみ取れる子であると思っているんです。もちろん、それは自分の気持ちをきちんと表現することにもつながり、それは相手に正確に自分をわかってもらえることになりますから、イライラも少ない、安定した子のように見えることでしょう。

優しい子や他人の気持ちをわかる子にしたいなら、語彙力、国語力が必須だし、他人の気持ちがわからない子、というのは、他者に比べて語彙力や国語力がなく、感じ取ることができない可能性もあるわけです。もちろん、それだけが原因ではありませんが、それでも、こうした語彙力をあげることが、そうした部分の改善につながる可能性は高いと思っています。

話を戻しますが、気持ちは目に見えません。怒るとか、笑うとか、泣くとかまでは目に見えても、それ以上は目に見えない。だけど、いつの間にか、私たちはそれをコトバを使って伝え合うことができるようになるわけです。

もちろん、相手と自分が同じ状態、同じ気持ちであるとは限らないし、相手の気持ちを自分の気持ちによって理解するというなんだか複雑なことをしているわけですが、コトバを使って私たちはこんなことをしているわけです。

だとすると、気持ちを表す語彙と、気持ちを表す色や絵って、なんだか魅力的に感じません?感じた?じゃあ、この本は「買い」です。まあ、幼児限定ですけどね。

 

3才6カ月になって、「ひらがな」を劇的に読めるようになった!

うちのお姉ちゃんの場合、2歳でようやく発話をしはじめました。うちは「ママ」ではなく、「おかあさん」でしたが、そんなふうに話せるようになったのが2歳。結構遅いですよね。

でも、その瞬間、ほぼ文をしゃべりだしました。だから、あっという間に会話ができた気がしています。で、ひらがな自体は、もしかしたら、話す前から理解していたかもしれないです。特に、名前に入っているような字は、「どれ?」って聞いたら、指させたような気がしています。

3才になってからは、ひらがなの読みに関してはパーフェクト。「これ何?」って聞いたら、間違いなく答える。

そのあたりはこちら。

ehon.manebi.tokyo

というわけでですね。字自体は読める状態になっているんですが、なかなか本をひとりで読むというのはハードルが高いようなんです。

これも何度か書きましたが、「読み聞かせたフレーズを覚えて、本を開いて読む」というのは得意技。「わにわに」シリーズや、

ehon.manebi.tokyo

「雨ニモマケズ」で、

ehon.manebi.tokyo

実証済みですが、これらは字を読んでいるのでなく、覚えているわけですね。私としては、次のステップとして、文字を読むことだな、なんて思っていたので、そのためには、「大きい字」、そして「短い単語」が絶対条件だったんです。

でも、これが動物とか、彼女の好きな魚になってしまうと、

「絵を見て名前を覚える」→「字は読んでいない」になってしまいますよね?

だからといって、字だけでは子どもの、3歳児の興味をひかないわけです。

この間として、この本は最適だったんですね。

ふう。ちゃんと説明しました。国語の先生としては、こんな戦略を持って、「この本は「買い」だ」と手にしたんです。

ありがとう。西村書店さん。ありがとう。ミース・ファン・ハウトさん。

さて、買ってから1カ月。劇的に、字を読むことに興味を覚えました。何がきっかけか、何が最初かはわかりません。この本か、言葉カードか、それとも保育園とかドラキッズで何かあったのか?

でも、とにかく、劇的に字を読み始めました。そして、案の定、この本はお気に入りに。ちょっとがんばると、字が読める本だからです。

うれしいかぎり。

 

最近のこの本のはやりは、「わくわく」はどんな時?

そして、最近は彼女が字を読むと、「それはどんな時?」と全部聞くんですね。そうすると、がんばって状況を説明してくれます。

「うちの子ちょーすごい」って、親バカしたくなる瞬間です。

「うんざり」は「お母さんがよくうんざりする。」「いうこときかないときとか」

「お父さん」は「むかむか」だそうです。「プール行きたくないっていうと、お父さんがむかむか」なんだって。

そういうとき「ゆうきをもって」「ごめんなさいする」らしいです。

かわいいでしょ?

「わくわく」は、遊びにいくときとか、「むしゃくしゃ」は「おとうとにおもちゃをとられたとき」とか、もちろん、お母さんがした説明とか使っているんだと思うんですけど、そうやって使うことが言語の獲得ですから、とても楽しいですよ。

「しょんぼり」は「おこられたとき」とか「ばあばとおかがふたりでちゅうしゃじょういっちゃったとき、ひとりのこされてしょんぼり」とか、かなり的確じゃないですか?

「しあわせ」は現在、「おかあさんとおとうさんとおとうとと四人がみんないること」だそうです。

すばらしい。できた娘だ…。

というわけで、同じような気持ちに浸りたい方は、是非ご購入ください。